現代短歌評論賞の記録
総合誌「短歌研究」を発行する日本短歌社により、昭和29年に創設。一時の中断を経て、現在は短歌研究社主催。予め発表される課題に対して、四百字詰原稿用紙20~30枚相当の未発表論文を公募(第33回応募時)。選考委員には、応募者の氏名、生年月日、歌歴・所属誌などの情報も予め開示。
最終更新:2021年12月28日
現代短歌評論賞:各年の受賞者
年・回 | 受賞者、受賞作品、課題、選考、賞金額 |
---|---|
2020年
第38回
|
弘平谷隆太郎 歌人という主体の不可能な起源 課題:短歌のあたらしい責任
(調査中) 選考:今井恵子、大島史洋、三枝昂之、谷岡亜紀、篠弘
賞金:10万円
|
2019年
第37回
|
土井礼一郎 なぜイオンモールを詠むのか――岡野大嗣『サイレンと犀』にみる人間性護持の闘い 課題:現代社会と短歌
変貌し続ける社会のなかで、短歌という存在は、どうなっていくのだろうか。また、社会の変化とどのように向きあって歌を詠んでいくか。「短歌滅亡論の再検討」など――さまざまな切り口で、論を展開していただきたい。 選考:今井恵子、大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2018年
第36回
|
松岡秀明 短歌結社の未来と過去にむけて 課題:「短歌結社のこれから」のために、いまなすべきこと。
十年後、二十年後、三十年後、ネットのますますの普及、歌会に対する意識の変化、学生短歌の盛り上がりなど、いま起こっている現象がそのまま続いたとき、どのようなことが、短歌界と、短歌結社に起こるのだろうか。また、短歌結社があるべき機能をはたし続けるために、いま、どう備えるべきか論考していただきたい。 選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘、藤島秀憲
賞金:10万円
|
2017年
第35回
|
雲嶋聆 黒子の憂鬱――編集者・中井英夫論 課題:短歌総合誌のあたらしい役割
昭和7年、時代の要請をうけて誕生した「短歌研究」も本年8月号で1000号を数えます。大正期の「日光」、戦後の「八雲」「律」、そして現在もつづく角川「短歌」など多くの総合誌が誕生し、短歌の現在を追求してきました。これからの短歌総合誌の意義、果たすべき役割を模索する、意欲的な論考を期待します。 選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘、なみの亜子
賞金:10万円
|
2016年
第34回
|
該当作なし
課題:変貌する短歌
東日本大震災、原発事故から5年、戦後70年の節目をへて、いかに短歌は時代と向きあい、どのように変貌をとげようとしているのか。 選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2015年
第33回
|
三上春海 歌とテクストの相克 課題:戦後短歌70年を現代の視点で考察する
選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2014年
第32回
|
寺井龍哉 うたと震災と私 課題:短歌の<わたくし>
昭和29年に新人賞、現代短歌評論賞の募集が始まって60年。「われ」「わたくし」という大命題を、21世紀の現代に即した斬新な視点でとらえた論考を期待します。 選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2013年
第31回
|
久真八志 相聞の社会性 ――結婚を接点として (「妻の歌、夫のわたし ――相聞歌と社会詠の接点としての結婚」を改題) 課題:現代短歌の基盤 ――昭和7年の創刊以来、時代とともに現代短歌の諸相を追求、数々の論文をのこしてきました。文芸の中の短歌の位置、1300年に及ぶ伝統との相剋、21世紀の今、短歌を作ること、読むこと、その基盤となるものは何かを考えたいと思います。
選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2012年
第30回
|
三宅勇介 抑圧され、記号化された自然 ──機会詩についての考察 課題:機会詩としての短歌の可能性を探る
さまざまな局面をもつ現代社会の中で、短歌はどのように現実を捉え、受容することができるだろうか 選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2011年
第29回
|
梶原さい子 短歌の口語化がもたらしたもの ――歌の『印象』からの考察 課題:現代短歌の口語化がもたらしたもの、その功罪
選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2010年
第28回
|
松井多絵子 或ホームレス歌人を探る ――響きあう投稿歌 課題:いかに現代を詠うか ――現代短歌の諸相を分析する
選考:大島史洋、三枝昴之、佐佐木幸綱、篠弘
賞金:10万円
|
2009年
第27回
|
山田航 樹木を詠むという思想 課題:自然と短歌
近現代短歌は自然とどのように向きあってきたのか その軌跡と現状分析を軸に 選考:大島史洋、三枝昂之、佐佐木幸綱、篠弘、森井マスミ
賞金:10万円
|
2008年
第26回
|
今井恵子 求められる現代の言葉 課題:あたらしい相聞を考える ――現代短歌史上の問題としてとらえる
選考:大島史洋、佐佐木幸綱、篠弘、川本千栄
賞金:10万円
|
2007年
第25回
|
藤島秀憲 日本語の変容と短歌 ――オノマトペからの一考察 課題:日本語の変容と短歌 ――若者言葉から古典回帰まで
選考:大島史洋、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫、森本平
賞金:10万円
|
2006年
第24回
|
高橋啓介 現実感喪失の危機 ――離人症的短歌 課題:短歌におけるリアリティとは ――作品の評価軸を考える
選考:大島史洋、小林幹也、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
2005年
第23回
|
なみの亜子 寺山修司の見ていたもの 課題:歌人の登場、或いは歌人の退場、と歌壇の変容について
選考:大島史洋、小澤正邦、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
2004年
第22回
|
森井マスミ インターネットからの叫び ―「文学」の延長線上に 課題:短歌の媒体と作品の関係(発表形態と作品の関係)
選考:岩井謙一、大島史洋、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
2003年
第21回
|
矢部雅之 死物におちいる病 課題:現代短歌から見る近代短歌の出発点
―一周回った近代― 選考:岡井隆、佐佐木幸綱、篠弘、田中綾、菱川善夫
賞金:10万円
|
2002年
第20回
|
川本千栄 時間を超える視線 課題:改めて短歌に何が可能か
近年起きている、意識改革を迫る、想像を超える現実を前に、短歌の存在意義を論じてください。(テロリズム、経済不況から家庭内虐待まで) 選考:岡井隆、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫、吉川宏志
賞金:10万円
|
2001年
第19回
|
森本平 「戦争と虐殺」後の現代短歌 課題:短歌の新世紀を拓く
過去に捨て去るべきもの これから育てるべきもの 選考:岡井隆、小塩卓哉、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
2000年
第18回
|
小林幹也 塚本邦雄と三島事件 ―身体表現に向かう時代のなかで― 課題:歌人論 ―歌人とその時代
選考:菱川善夫、岡井隆、篠弘、佐佐木幸綱、柴田典昭
賞金:10万円
|
1999年
第17回
|
小澤正邦 「も」「かも」の歌の試行 ―歌集『草の庭』をめぐって 課題:現代短歌の尖端的試み ―閉塞状況を打破するために
選考:?
賞金:10万円
|
1998年
第16回
|
岩井謙一 短歌と病 課題:正岡子規「歌よみに与ふる書」から百年、第二芸術論から五十年、を経た現代の史的視点を問う
選考:大野道夫、岡井隆、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
1997年
第15回
|
該当作なし
課題:短歌と○○との接点
○○のテーマの選択は自由です。必ず短歌との接点で論じて下さい。 選考:岡井隆、加藤孝男、佐佐木幸綱、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
1996年
第14回
|
該当作なし
課題:短歌は何を目指すべきか
―短歌の将来性 選考:岡井隆、佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、谷岡亜紀、菱川善夫
賞金:10万円
|
1995年
第13回
|
田中綾 アジアにおける戦争と短歌 ―近・現代思想を手がかりに 課題:近代短歌の超克
選考:喜多昭夫、佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1994年
第12回
|
吉川宏志 妊娠・出産をめぐる人間関係の変容 ―男性歌人を中心に 課題:現代の人間関係の変容と短歌
選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫、山下雅人
賞金:10万円
|
1993年
第11回
|
猪熊健一 太平洋戦争と短歌という「制度」 ―「第二芸術論」への私答 課題:短歌と時代 ―時代とのかかわり―
選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1992年
第10回
|
小塩卓哉 緩みゆく短歌形式 ―同時代を歌う方法の推移 課題:現代短歌これからの主題と方法
選考:篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1991年
第9回
|
柴田典昭 大衆化時代の短歌の可能性 ―俵・加藤・道浦の新歌集をめぐって 課題:現代短歌の新人像 ―新しい短歌にどんなイメージを求めるか
選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1990年
第8回
|
鳥瀬信博 鳥はどこでなくのか 課題:過去の短歌解釈の再検討
作品論・歌集論―万葉から近代まで 選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1989年
第7回
|
坂出裕子 持続の志 ―岡部文夫論 大野道夫 思想兵・岡井隆の軌跡 ―短歌と時代・社会との接点の問題 課題:歌人論 ―対象歌人は限定しません。但し、現代短歌にあたえた影響・功罪の視点から論じて下さい。
選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1988年
第6回
|
加藤孝男 言葉の権力への挑戦 課題:表現方法や主題の変化からみた現代短歌の特質について ―これからの短歌の方法
選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1987年
第5回
|
谷岡亜紀 ライトヴァースの残した問題 課題:現代短歌の変質とこれからの展開
選考:佐佐木幸綱、篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1986年
第4回
|
喜多昭夫 母性のありか ―女流歌人の現在 課題:現代文化における短歌の局面
現代短歌の諸分野との関係を踏まえて、体系的に論じて下さい。 選考:篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1985年
第3回
|
山下雅人 現代短歌における“私”の変容 課題:現代短歌の可能性をさぐる。
現代歌人の作品を踏まえて、体系的に論じて下さい。 選考:篠弘、島田修二、菱川善夫
賞金:10万円
|
1984年
第2回
|
該当作なし
課題:今後の短歌をリードしていく大きな流れを作っていくとみられる動きを、今起こっていることから見出して、体系的に、論じて下さい。
選考:上田三四二、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|
1983年
第1回
|
該当作なし
課題:昭和短歌五十年史を今日から顧みて改めて考え直すべき問題、或いは事柄について
選考:上田三四二、篠弘、菱川善夫
賞金:10万円
|