うたつかいはこうして広まった
参加者に3冊を贈呈
2011年の8月末に、ツイッターのツイートで「うたつかい」への参加の呼びかけをする時、提示した条件は、
- 5首にお題をつけて投稿してください。(既発表作も可)
- 寄稿料はありませんが3冊を贈呈します。
という2点でした。当時は「謹呈」という言葉も馴染みがなく、「贈呈」と言っていました。なぜ3冊も贈呈することにしたのか。1冊でよかったのに、と当時よく言われました。今から思うとずいぶん無謀なことだとわかる(経費的に)のですが、当時は参加者に3冊渡す、というアイデアにわくわくしていました。このことについて、過去に書いた文章を少し転載します。「ザ・インタビューズ」というサイトの中でわたしが書いた文章です。
さて、うたつかいに参加してくださる歌人さまには、3冊以内は無料で出来上がりのzine(冊子)をお送りしています。
一応、ご希望をお伺いしてますので、1冊という方も、2冊という方も、3冊という方もいらっしゃいます。
始まる時、3冊無料は無謀なんじゃないかという声も多数いただきました。
わたしもちょっとどきどきしてました。
じつは、参加の方が60名を超えるなんて、夢にも思わなかったからです。
そんなにたくさんの数を一人で作れるかな、という不安です。(3冊×60人で180冊!)
でも、3冊ってタイムラインで言っちゃったし!(訂正が面倒だった)もともと3冊渡したいって思ってたし!
結局そのまま、参加の方には3冊渡す予定で、販売分含め発行部数を320冊に設定して始めました。
けっこう一日で製本できるもんですね。がんばれば(汗)
3冊渡したい理由は、一冊は自分用、二冊めは自分の大切な人用、三冊めは初めて出会う方への自己紹介用と、いうふうに、参加歌人さんから別の誰かに「うたつかい」が広まることを想定しての3冊なのです。
2冊じゃ内輪で終わりそう。もう一冊あれば、外に広まりそう。短歌を楽しいと思う人が増えるかも。
と、思ったのです。
創刊号はわたしを含め60名の参加で、冊子は販売分含め320冊ほど作りました。今は、うたつかいからの謹呈冊子は投稿時に1~3冊まで好きな数を選んで頂いてますが、創刊号は全員に3冊ずつ発送しました。参加者の中には、こんな冊子があるよ、私も参加していてここに載っているよ、と自分の歌を紹介する人がいるかもしれない。名刺のように友だちに配るかもしれない。わたしならきっとそうするな、と思いました。わたしの想像がすべて当たったわけではありませんでしたが、うたつかいは徐々に参加者からその方の短歌の友人へ手渡されたり、思いもよらない方の手に渡ったりしました。
短歌の総合誌に
2012年の12月、2冊の有名な短歌の総合誌で「うたつかい」の名前を出して頂きました。『歌壇』12月号では未来短歌会の田中槐さんが年間時評「震災後一年と短歌のこれから」の中で触れて下さり、角川『短歌』12月号では同じく未来短歌会の加藤治郎さんが「『うたつかい』のひろがり」というタイトルで2ページにわたる記事を書いてくださいました。このお二人に「うたつかい」を手渡して下さったのが未来短歌会の本多真弓さんでした。この時、多くの歌人の方に「うたつかい」の存在を知って頂けたのではないか、と思っています。また、その後ほどなく短歌人の村田馨さんも、結社誌「短歌人」2013年3月号の「『うたつかい』と『うたらば』」という記事の中で、紹介してくださいました。
とにかくツイッターが居場所
そして、なんと言っても、ツイッターのリツイート機能による情報の拡散が大きかったと思います。「うたつかい」は参加者をツイッターアカウントを持っている方に限定していますので、情報を流すのはツイッターのみでした。理由は、わたしが他のウェブサイトを使いこなせないからですが、幸いにも、ツイッターには短歌が好きな方、学生短歌会の方、歌人の方がたくさんいらっしゃいました。わたし自身、ツイッターを連絡手段として、このような方々との交流から、「うたつかい」編集長として短歌の活動が広がりました。
「うたつかい」の名前が本屋さんで
そして、大きな出来事がありました。2013年の2月、加藤治郎さんが書肆侃侃房さんへわたしを推薦して下さり、新鋭短歌シリーズの12冊目として歌集を出すことになりました。プロフィールにはもちろん「うたつかい編集長」と書いてあります。一般書店で並んでいるわたしの歌集を手にとってくださった方は、「うたつかい」って何だろう?と思っておられるかもしれません。自分の歌集が出たことですら今でも時々信じられないのですが、「うたつかい」の名前がこのようにおおやけになることを、2011年の8月のわたしが、いくら大きな夢を見たとしても、想像も、妄想も、できないことでした。
変化が楽しみ
「うたつかい」はこの秋で4期目に突入しました。この冊子がどんどん広まったら楽しいだろう、と思って作り始めたのですが、広めるための工夫は「参加者に3冊渡す」ということだけでした。今も続けています。「うたつかい」が今後どんなことになるのか、わたし自身が一番楽しみです。少しでも長くその変化を見届けられるように、より良い冊子作りに励みたいと思います。「うたつかいな日々」次回、第4回目もどうかお楽しみに!