うたを詠みたい・うたを読みたい

うたつかい」はツイッターのアカウントを持っている人なら誰でも投稿できる短歌冊子です。わたしはこの冊子の編集長ですが、8名の編集部員とともに、「うたつかい」を制作しています。どんどん自分で短歌を詠みたくなる、もっともっと他の人の短歌を読みたくなる冊子になるよう、心をこめています。この連載を通じて「うたつかい」に興味を持ってくださる方が増えればうれしいです。第1回目はわたしが「うたつかい」を作ることになったいきさつをお話したいと思います。
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ツイッターに登録

 わたしは2010年1月にツイッターに登録しました。なぜ登録したのかというと、1月25日付けの日経MJに「ブームの予感 ツイッター文学」という記事が、最終面に掲載されていて、140字の中で表現される文学があるのか、ととても興味がわきました。実は、ずっと小説を書いてみたいと思っていたんです。物語の構想を練るまでは調子がいいのですが、いざ書き出すと、長い文章が書けない。でも、ツイッターなら140字。これならわたしもできるかも、やってみたい、とアカウントを取得しました。日経MJの記事には内藤みかさんが大きく取り上げられ、ツイノベ―140字の小説―のハッシュタグ(#twnovel)の紹介などがあり、わたしはさっそく内藤さんをフォローして、ツイノベのタグを検索してツイートを読み漁り、見よう見まねでいくつか投稿してみました。

口語短歌との出会い

 ところがツイノベも、やってみると難しい。どんどん投稿する、というわけにはいかず、他の人のツイートは上手に見えるし、いきづまってしまいました。そんな時に、ふと、何かの拍子に短歌のハッシュタグにたどりつきました。そこで、気持ちいいくいらい次々と息をするように歌うように短歌を投稿している女性に出会いました。その方をフォローして、彼女の短歌ツイートを読むうちに、わたしもいつの間にか短歌をツイートするようになったのです。わたしに口語短歌との出会いをくれた彼女は、氷吹けいさんといい、今でもとても仲の良い友人で、うたつかい編集部員として創刊からずっと制作に参加してくれています。

短歌ってすごく楽しい

 短歌をツイートするようになると、フォローする方もフォローされる方も、短歌を詠む人たちが増えてきました。毎日タイムラインで短歌のやり取りをするのが楽しくて仕方ありません。そんな中、田中ましろさんをフォローしたことで、彼の制作する「うたらば」と出会いました。文庫本より少し大きいサイズの冊子には美しい写真に短歌が一首ずつ掲載されています。創刊号「春恋」を手渡してもらった日のことを今でもはっきりと覚えているのですが、確実に何かがわたしの中で弾けました。

田中ましろさんの「うたらば」。年に何回か発行されるカラーのフリーペーパーはWEB上でも公開されています。

「うたらば」に載りたい

 「うたらば」に出会ったことで、短歌を投稿して選を受ける、ということを初めて経験しました。わたしの短歌も、いつかあの美しい写真をつけてもらって冊子に掲載されたい、と強く思うようになりました。「うたらば」に掲載されている短歌の作者をツイッターで見つけてはフォローして、その方たちのツイートやブログにアップされている短歌を探して読むようになりました。皆さんの短歌をもっと読みたい、という気持ちがどんどん高まりました。

WEBは苦手

 実は、わたしは機械音痴で、携帯もパソコンもインターネットも苦手でした。今でもそうです。ツイッターのような単純なものでも、未だによくわからない機能があったり操作を間違えたりします。当時、自分が読みたい歌がインターネット上にしかないのが不満でした。ツイートは日々どんどん流れてしまいます。ブログはあちこちに散らばって、いちいちアクセスするのが面倒です。大好きな「うたらば」に掲載されている短歌は数が少なく、発行も年に数回でしたので、わたしの「短歌を読みたい欲」が満たされませんでした。そこで、ふと、自分もましろさんのように短歌を集めて冊子を作ってみればどうかな、と思ったのです。

うちの店には輪転機がある!

 わたしの生家は元は洋品店だったのですが、9年前に新聞の販売店へと転業しました。わたしは三姉妹の長女として家業の洋品店を継ぎましたが、今は新聞配達をしたり、折込広告の制作や仕分けをしたりしています。店にはいろんな機械があるのですが、その中に輪転機があります。町内のお店や企業さんから依頼を受けて、折込広告を印刷するためです。何千、何万という紙がとても短時間で印刷できます。しかも、家庭用のプリンターやコンビニのコピー機に比べれば、コストがすごく安いんです。わたしは輪転機で印刷した短歌の冊子を作ってみたくなりました。

モノクロの冊子

 輪転機はモノクロ印刷です。「うたらば」のような華やかな冊子は作れませんが、短歌がずらっと並んでいるだけの、学校の文集のような冊子なら作れます。とにかく短歌をたくさん読みたかったわたしは、それで十分でした。思い立ったらすぐに作りたくなり、短歌投稿の募集要項をツイートしました。多くて15~6人集まればいいかな、と思っていたのですが、数日で参加者が60名になりました。参加者の中から、制作を手伝うよ、と申し出てくれた友人が数名いました。さっそく編集部を結成*1。その中に、前述の氷吹けいさんや、今もデザインを担当してくれているこはぎさん、校正や広報を受け持ってくれている龍翔さんがすでにいました。そして「うたつかい」創刊号ができました。タイトルをつけた5首の自由詠が60名分で、計300首が掲載されています。わたしの「短歌読みたい欲」はこうして満たされました。

*1 うたつかい編集部員の紹介はこちら「うたつかいブログ:うたつかい編集部員」をご覧ください

うたつかい」。創刊号は参加歌人60名で用紙が6枚でした。今月発行したばかりの第20号、2014年10月号は参加歌人166名、用紙は13枚。だんだん分厚くなってきました。

こうして「うたつかい」な日々へ

 2011年8月29日17時39分、わたしの募集した要項のツイートはこれです。

[短歌クラスタ各位] 短歌な月刊zine(冊子)を作ります。短歌を寄稿して下さる方を大募集☆寄稿料はありませんが、仕上がった冊子を3冊差し上げます。(5首以上10首未満でお題をつけて)新作旧作問いません!とりあえず9月号のために協力して下さる優しい方リプかDMお待ちしてます!

無謀にも「月刊」の冊子を作ろうと思ったのです。田中ましろさんから、月刊は大変だよ、と言われていたにもかかわらず…。この日から「うたつかい」に関する作業をほぼ毎日しているような気がします。次回、第2回目は「うたつかい」の制作現場をレポートしたいと思います。どうぞお楽しみに!

記事のカテゴリー:連載記事, うたつかいな日々
しまだ・さくらこ
1975年滋賀県生まれ。95年京都府立大学女子短期大学部国語科卒業。ファッションアドバイザーとしてアパレル会社勤務後、家業の洋品店を継ぐ。2005年に洋品店を廃業し、新聞販売店へ転業。10年1月に作歌を始める。11年9月から「短歌なzine うたつかい」を、編集長として企画、発行。13年12月、書肆侃侃房より第一歌集『やさしいぴあの』刊行。
Website うたつかいブログ
Website ブログ「さくらんぼの歌」
Twitterid = sakrako0304
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