うたつかいはこんな冊子

前回は「うたつかい」がどんな風にして広まったかということを、この3年間の流れを感じながらお話しました。大切な方との出会いなくしては語れない部分でしたが、前回書かせていただいたエピソードもほんの一部分にすぎない、と読み直して思いました。さて、今回は「うたつかい」が実際どんな冊子か、中身のご紹介をしたいと思います。
(火)

ご投稿作品は全掲載

 創刊号から一貫して変わらないことと言えば、ご投稿作品を全て掲載する、という主旨です。現在、投稿していただけるコンテンツは4種類です。

  • 5首の自由詠 (タイトルをつけた5首の連作)
  • テーマ詠 (毎号のテーマに添った一首)
  • 恋歌 (タイトルをつけてペアで3首ずつを詠み合う)
  • てがき短歌 (自作短歌を手書き、またはイラストなどをつけて手描きする)
  • ※ 次号2015年4月号(第22号)へのご投稿受け付け開始は、2015年1月上旬の予定です。

 投稿歌の全掲載については「選がないのは冊子として内容の質が悪くなるので読みたいと思えない」という、ご意見もいただきました。わたしがこの冊子を作る原動力になる気持ちの一つに「自由な発想で、のびのびとした作品をたくさん読みたい」ということがあります。選ばれた作品ばかりが掲載されていたのでは、投稿して下さった方の個性の一部分を削ってしまう、と当時考えていました。また、誰が選ぶのか、という問題もありました。もし、わたしが選ぶというのであれば、とても無理なことでした。わたしは編集長としてこの冊子を作っていますが、自分より実力も経験もある方がたくさん投稿して下さっている中で、自分が作品を選ぶなんて考えもしませんでした。そして、3年が経ち、実は近ごろは一首だけ、わたしの権限で選ばせてもらっています。

巻頭歌&もくじのページ

 うたつかい2014年4月号(第18号)から、表紙をめくってすぐの巻頭歌は、投稿していただいたテーマ詠の中の一首を掲載しています。その一首からイメージを広げて、もくじの上に詩のような短い言葉をわたしが書き、さらに、デザイナーの高木秀俊さんがいつもすてきなイラストを描いて仕上げてくれます。

  • 2014年4月号(第18号)テーマ「色」
    • <巻頭歌>
      ゆびさきの冷たいひとがさらさらと走らせている黒ボールペン (逢)
  • 2014年7月号(第19号)テーマ「海」
    • <巻頭歌>
      とほくとほくないてゐるのは海市へと連れてゆかれたきみかもしれず (有村桔梗)
  • 2014年10月号(第20号)テーマ「魔法」
    • <巻頭歌>
      「あいにくと奇跡は売っておりません」ふかぶか耳を丸めるうさぎ (田中ましろ)
※写真1 左から4月号、7月号、10月号 (デザイン:高木秀俊)

 2014年1月号(第17号)まで、この場所はわたしの一首を掲載してきました。一番目立つ場所ですので、一人占めしているのがだんだん心苦しくなってきました。そして、わたしも短歌を始めて4年がたち、とてもおこがましいのですが、短歌を読む力がついてきて、自信をもって皆さんに自分が選んだ一首を紹介したいと思えるようになってきました。

テーマ詠・5首の自由詠

 毎号の冊子のデザインとも深くかかわってくるのが、このテーマ詠です。お一人一首のみのご投稿で受け付けています。テーマは、編集部員全員で自由に出し合って、多数決で決めます。次号のテーマは「毛」です。楽しい歌がたくさん集まりました。5首の自由詠につきましては、まったくの自由です。ただし、タイトル必須、5首必ず揃えていただくことが条件です。

※写真2 上:テーマ詠(デザイン:高木秀俊) 下:自由詠(デザイン:千原こはぎ)

 うたつかいではご投稿作品全掲載のため、冊子制作をスムーズに行うためのガイドラインを一読していただくよう、皆さまに呼びかけています。スペース、ルビ、英数字などの特殊表記について、うたつかいでは掲載の際の表記を統一しています。詳しくは、短歌投稿のガイドラインを御覧下さい。

 現在2015年1月号(第21号)を制作中ですが、テーマ詠は133名、自由詠は143名のご投稿がありました。

恋歌・てがき短歌

 「恋歌」は二人一組で申し込んでいただきます。交互に配置されますので、返歌の形で3首ずつ、といった雰囲気です。性別は問いません。二人で短歌を通して恋する気持ちを表現する場です。古くは万葉の時代からあった相聞の形で、作品を残したいと思って作ったコーナーです。「てがき短歌」は最近ご投稿数が少ないのですが、自筆のあたたかさや、イラストが楽しいコーナーです。

※写真3 左:てがき短歌 右:恋歌 (ともにデザイン:千原こはぎ)

連載

 ご投稿作品の他に、毎号の連載があります。現在はたたさん(@tatanon)の「ホップステップ短歌」とショージサキさん(@fabfourcomicall)の「秘密基地女子おろろん日誌」を掲載しています。「ホップステップ短歌」では、ライターのたたさんの独特な視点で、短歌を深く読みとくヒントが掲出歌とともにわかりやすく書かれています。10月号は第6回「無いものごとを詠む」というタイトルでした。「秘密基地女子おろろん日誌」はショージサキさんの短歌生活を漫画風に描いてもらっている1ページで、vol.10では大阪短歌チョップレポートになっています。ページ下にはショージサキさんの一首も掲載されています。うたつかい読者の方は、この2つのコーナーから読む、という方が非常に多いです。毎号楽しみにしている、というお声を一番たくさんいただきます。

※写真4 左:「秘密基地女子おろろん日誌」(ライター:ショージサキ/デザイン:千原こはぎ)。右:「たたさんのホップステップ短歌」(ライター:たた/デザイン:高木秀俊)

参加歌人さまご紹介ページ

 このコーナーは一見歌人名簿のようですが、参加して下さった方がどんな人たちなのか知りたい!という気持ちから、100文字以内のプロフィール以外に、毎号テーマに添った一言質問に20文字以内で答えていただいています。10月号の質問は「ひとつだけ魔法が使えるとしたら何をしますか?」でした。わたしは毎号皆さんの回答を読むのが楽しみで、編集部で真剣に質問内容を考えています。

※写真5 今月のうたつかい参加歌人さまご紹介(デザイン:千原こはぎ)

わたしが読みたいと思う冊子作りから始まって

 現在の掲載内容を順を追ってご紹介しました。わたしの「読みたい」という欲望から始まったこの冊子は、編集部員内でのウェブ会議や、友人の助言でたくさんの改変を重ねてきました。まだ「うたつかい」を読んだことのない方がこの記事を読んで、おもしろそうだな、と少しでも思って下さるとうれしいのですが。また、わたしを見かけましたら、お気軽に冊子についての感想やご要望などお聞かせ下さい。長々と語り過ぎてしまいましたがお許し下さい。次回もどうぞお楽しみに!

記事のカテゴリー:連載記事, うたつかいな日々
しまだ・さくらこ
1975年滋賀県生まれ。95年京都府立大学女子短期大学部国語科卒業。ファッションアドバイザーとしてアパレル会社勤務後、家業の洋品店を継ぐ。2005年に洋品店を廃業し、新聞販売店へ転業。10年1月に作歌を始める。11年9月から「短歌なzine うたつかい」を、編集長として企画、発行。13年12月、書肆侃侃房より第一歌集『やさしいぴあの』刊行。
Website うたつかいブログ
Website ブログ「さくらんぼの歌」
Twitterid = sakrako0304

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